以前より天体写真の画像処理にはDSS、Siril、Affinityphotoを使用している。Sirilの進化に伴って処理方法も少しずつ変化しているが、カラーカメラでの撮影画像に関してはほぼ落ち着いた状態になっているのでその内容をメモしておこうと思う。SirilではStarNet2およびスクリプト GraXpert-AI.py、AberationRemover.pyを使用可能にしている。使用画像は、Tamron A001 70-200mm F2.8(70mm/F2.8)、カメラはASI533MC(0℃にて)、300s露光を60枚(gain100)で2023年に撮影している。最後の仕上がり写真以外はSirilの表示モード自動イコライゼーションでの画像を使用している。
1. スタック
相変わらずDSS (Deep Sky Stacker) を使用している。とにかく使いやすく、結果も私にとっては充分だ。Sirilのスタック機能も、スタック前の画像それぞれにカブリ補正を適用できることに惹かれて試してみたが、私の目にはDSSでの結果と比較して特に優れているとは感じられなかった。
2. カブリ補正
スタック画像の周辺部の乱れをトリミング後、スクリプト→Pythonスクリプト→Processingから GraXpertのBackground Extractionを実行するが、正常に補正されているか確認した方が良い。スクリプトでは作成されたバックグランドを確認することはできないので、インストールしたGraXpertを使用して確認する。これがほぼほぼ1次関数的でなだらかに変化していれば良しとしている。

3. 収差補正
次に、スクリプト→Pythonスクリプト→Processingから AberrationRemoverを実行するとコマ収差、非点収差、像面収差などを補正して星を丸く引き締まった状態にしてくれる。(画像は右上を500px四方で切り出したもの、以下同様)

4. RGB 位置合わせ
AberrationRemoverは倍率色収差は補正してくれないようなので、画像表示を右クリックしてRGB alignから 2-pass global star alignmentを実行すると色ズレが補正される。

5. Deconvolution
GraXpert AIの Deconvolutionは星と対象それぞれ別に実行するよになっており、今回は星のみにかけている。PSF sizeはFWHM(px値)を調べて入力するのが基本だ。今回の画像では3.3程度であったが、やや小さめに設定してみた。

6. Denoising
GraXpert AI の Denoisingを使用、最初は少々時間がかかるが強度を変えて試行するする場合、2回目以降は瞬時に結果が出る。強くかけても解像感の劣化は感じられなかったので1で実行している。

7. 色合わせ
PCC(測光色補正)や SPCC(分光測光色補正)を用いる場合は最初にプレートソルブを行う必要がある。Sirilのツールバーから、ツール→天体測量→アストロメトリを起動して中心付近にある天体名、光学系の焦点距離、撮像素子のピクセルピッチと画素数を入力してOKボタンを押す。プレートソルブが成功するとPCCとSPCCが使えるようになる。
ツールバーから色補正→測光色補正または分光測光色補正だが、通常はより精度が高いという分光測光色補正を用いる方が良いだろう。その場合、パラメーターとして撮像素子の種類と使用フィルターの種類を指定する必要がある。今回、使用フィルターはOptolongのL-eXtremeだがリストには無かったので特性が似ているAskar Colour Magic c1を選んだ。なお、リストにあるフィルターの特性は右のDetailsボタンで確認できる。

8. リニアステージ以降
7までがリニアステージでの処理で実際の画像はまだ真っ黒だ。この後、必要であれば星無し画像を作り星雲のみの状態でストレッチ処理を行うが、今回は星を分離しないままストレッチ処理を行い、その後Affinityphotoで最終調整をしている。ストレッチはSirilのTutorial を参考に主にGHS変換を用いて行っている。下が仕上げた写真だ。

Sadr付近