ぐうたら星撮り記

光害地で一杯飲んで寝ている間に天体撮影、これでいいのだ!

噂のレンズ SV535 で撮ったM8付近

 Cost performance が良いと評判のレンズ SVBONYのSV535を入手したのでM8付近を撮影してみた。世間の評価でこれは素晴らしいというレンズや鏡筒を持っておらず、その実力がどれほどのものか確認したい気持ちはあったが、どれも高価なので購入には至っていなかった。今回、とても手ごろな価格で高性能と評判のレンズが出てきたので、やっと願いがかなったという訳だ。

 

       レンズ:SVBONY  SV535  105mm F2.8 

    赤道儀:EQ5 GOTO SS-one AutoGuider Proでオートガイド

              カメラ:ASI533MC Pro 0℃ offset 20 gain100

    撮影ソフト:NINA

    画像処理ソフト:DSS Siril(各種スクリプト連係) Affinity Photo

    撮影地:神奈川県藤沢市

    撮影:2026年7月19日

       フィルター:CBP 

          露光:300s×48(4h)

 評判通りなかなかシャープに写るレンズだと思う。下の写真は星を分離せずに処理しているが、ストレッチ後も星がうるさくならず自然な感じの仕上がりになった。(と思う) 周辺部を若干トリミングしている。

M8付近(総露光時間4h)

 小さなセンサーだが 一応 FlatAide Proで等倍星像チャートを作成してみた。左が完成画像のチャートで画像処理中にAberrationRemoverを使用している。右はスタック後の画像をASI FItsViewでオートストレッチした画像のチャートだ。星像補正をしなくても丸くシャープな星像が得られている。

 

画像処理メモ(カラーカメラでの撮影)

 以前より天体写真の画像処理にはDSS、Siril、Affinityphotoを使用している。Sirilの進化に伴って処理方法も少しずつ変化しているが、カラーカメラでの撮影画像に関してはほぼ落ち着いた状態になっているのでその内容をメモしておこうと思う。SirilではStarNet2およびスクリプト GraXpert-AI.py、AberationRemover.pyを使用可能にしている。使用画像は、Tamron A001 70-200mm F2.8(70mm/F2.8)、カメラはASI533MC(0℃にて)、300s露光を60枚(gain100)で2023年に撮影している。最後の仕上がり写真以外はSirilの表示モード自動イコライゼーションでの画像を使用している。

 

1. スタック

 相変わらずDSS (Deep Sky Stacker) を使用している。とにかく使いやすく、結果も私にとっては充分だ。Sirilのスタック機能も、スタック前の画像それぞれにカブリ補正を適用できることに惹かれて試してみたが、私の目にはDSSでの結果と比較して特に優れているとは感じられなかった。

2. カブリ補正

 スタック画像の周辺部の乱れをトリミング後、スクリプト→Pythonスクリプト→Processingから GraXpertのBackground Extractionを実行するが、正常に補正されているか確認した方が良い。スクリプトでは作成されたバックグランドを確認することはできないので、インストールしたGraXpertを使用して確認する。これがほぼほぼ1次関数的でなだらかに変化していれば良しとしている。

 

3. 収差補正

 次に、スクリプト→Pythonスクリプト→Processingから AberrationRemoverを実行するとコマ収差、非点収差、像面収差などを補正して星を丸く引き締まった状態にしてくれる。(画像は右上を500px四方で切り出したもの、以下同様)

 

4. RGB 位置合わせ

 AberrationRemoverは倍率色収差は補正してくれないようなので、画像表示を右クリックしてRGB alignから 2-pass global star alignmentを実行すると色ズレが補正される。

 

5. Deconvolution

 GraXpert AIの Deconvolutionは星と対象それぞれ別に実行するよになっており、今回は星のみにかけている。PSF sizeはFWHM(px値)を調べて入力するのが基本だ。今回の画像では3.3程度であったが、やや小さめに設定してみた。

 

6. Denoising

 GraXpert AI の Denoisingを使用、最初は少々時間がかかるが強度を変えて試行するする場合、2回目以降は瞬時に結果が出る。強くかけても解像感の劣化は感じられなかったので1で実行している。

 

7. 色合わせ

 PCC(測光色補正)や SPCC(分光測光色補正)を用いる場合は最初にプレートソルブを行う必要がある。Sirilのツールバーから、ツール→天体測量→アストロメトリを起動して中心付近にある天体名、光学系の焦点距離、撮像素子のピクセルピッチと画素数を入力してOKボタンを押す。プレートソルブが成功するとPCCとSPCCが使えるようになる。

ツールバーから色補正→測光色補正または分光測光色補正だが、通常はより精度が高いという分光測光色補正を用いる方が良いだろう。その場合、パラメーターとして撮像素子の種類と使用フィルターの種類を指定する必要がある。今回、使用フィルターはOptolongのL-eXtremeだがリストには無かったので特性が似ているAskar Colour Magic c1を選んだ。なお、リストにあるフィルターの特性は右のDetailsボタンで確認できる。

 

8. リニアステージ以降

 7までがリニアステージでの処理で実際の画像はまだ真っ黒だ。この後、必要であれば星無し画像を作り星雲のみの状態でストレッチ処理を行うが、今回は星を分離しないままストレッチ処理を行い、その後Affinityphotoで最終調整をしている。ストレッチはSirilのTutorial を参考に主にGHS変換を用いて行っている。下が仕上げた写真だ。

Sadr付近

 

うしかい座の球状星団 NGC5466

 視等級9.2とあるが結構暗い球状星団だ。多くの球状星団は中心に向かって星が密集し、明るく輝いているが、NGC 5466は集中度が低くまるで散開星団のような佇まいだ。暗くまばらで見た目は冴えないが、天文学的には興味ある対象らしい。その特徴の一つは、天の川銀河の重力によって、星団の星たちが外へと引っ張り出されている最中だということで、 星が帯状に流れ出した痕跡は天球上で45度以上もの長さに及んでいるとのことだ。(NGC5466ストリーム)他の特徴として、水素・ヘリウム以外の元素の割合が非常に低い、宇宙初期に生まれた古い星団であることや、比較的珍しいとされるブルー・ストラグラー(年齢が高いはずの星団において、周囲の星よりも若く青く輝いている特異な恒星)が豊富に含まれていることがあげられる。

 

    鏡筒:Kasai Trading GS-150RC+ ×0.75レデューサー(1050mm  F7)

    赤道儀:EQ5 GOTO SS-one  AutoGuider Proでオートガイド

    カメラ:SV605MC   0℃ offset 10 gain160

    フィルター:ZWO  new LRGB

    撮影ソフト:NINA

    画像処理ソフト:DSS SirilStarNet V2、GraXpert連係) Affinity Photo

    撮影地:神奈川県藤沢市

    撮影:2026年5月11日

       L 180s×38枚

        R 180s×11枚 (binning 2×2)       

        G 180s×20枚 (binning 2×2)

        B  180s×20枚 (binning 2×2)

       総露光時間 4h27m 周辺部を10%トリミング

NGC5466(総露光時間 4h27m)

 今回、RGB画像の作成はsirilのRGB composition で行い Affinity photoでLRGB合成している。当初はストレッチ後のRGB画像を合成していたが、下の写真左のように星団の中に赤っぽいノイズが発生してしまった。Rchは早い時間に撮影を始めているので光害が強く全体に画像の品質があまり良くないのが原因かと思うが、ストレッチ前の画像でRGB合成するとかなり改善されることが分かった。ストレッチの条件はRGBで全く同一にしており、原理的には問題ないような気がするのだが、やはりリニアの状態で合成すべきなのだろうか。

左:ストレッチ後に合成  右:ストレッチ前に合成

 

球状星団 M53

 かみのけ座の球状星団、視直径13’ほどで7.8等級の結構立派な星団だ。一般的に球状星団を構成する星は年老いた赤っぽい星が多いというのが定説だが、M53は青い星が多いのが特徴らしい。この写真ではよくわからないが、等倍程度に拡大してみると確かにうっすらと青みを帯びた星が多いのがわかる。

 

    鏡筒:Kasai Trading GS-150RC+ ×0.75レデューサー(1050mm  F7)

    赤道儀:EQ5 GOTO SS-one  AutoGuider Proでオートガイド

    カメラ:ASI533 MC  Pro  0℃ offset 20

    フィルター:LPR-N

    撮影ソフト:NINA

    画像処理ソフト:DSS SirilStarNet V2、GraXpert連係) Affinity Photo

    撮影地:神奈川県藤沢市

              撮影:2026年5月12日

       LPR-Nフィルター 300s露光を36枚 (gain220)

                 総露光時間 3h 

      周辺部を10%トリミング

M53(総露光時間 3h)

 

渦巻銀河M61、楕円銀河 M49

 両銀河とも初めての撮影だ。天体撮影が出来なくなるまでにメシエ天体を制覇したいとは思っているが、まだ半分も撮ってないのに残り時間はそう多くはない。好き嫌いを言ってないで撮れる時に撮れる対象を撮っておかねば・・・

 

    鏡筒:Kasai Trading GS-150RC+ ×0.75レデューサー(1050mm  F7)

    赤道儀:EQ5 GOTO SS-one  AutoGuider Proでオートガイド

    カメラ:SV605MC   0℃ offset 10 gain160

    フィルター:ZWO  new LRGB

    撮影ソフト:NINA

    画像処理ソフト:DSS SirilStarNet V2、GraXpert連係) Affinity Photo

    撮影地:神奈川県藤沢市

M61

 おとめ座銀河団の一員で大きさは天の川銀河と同程度らしい。スターバースト銀河で頻繁に超新星が出現し、これまで8個以上が観測されているとのことだ。腕の一部が角ばっているところが面白い。撮影した4/18は空の状態はいまひとつで、半分あきらめながらの撮影だったが思ったよりまともな画像になった。

    撮影:2026年4月18日

       L 180s×28枚

        R  180s×14枚 (binning 2×2)       

        G 180s×20枚 (binning 2×2)

        B  180s×20枚 (binning 2×2)

       総露光時間 4h6m 周辺部を10%トリミング

M61(総露光時間4h6m)

 

M49

 おとめ座銀河団の中で最初に発見された銀河で、同銀河団の中で最大級の質量と輝度を持つそうだ。中心部には太陽の5億倍の質量を持つという超巨大ブラックホールが存在しているらしい。楕円銀河は銀河同士の衝突、合体の結果という説が有力で、構成する星は年老いた赤い星が多く、銀河は赤っぽく見える。撮影日の4/21は黄砂が飛来していたらしいが、それほど空の状態は悪くなかったように感じた。

    撮影:2026年4月21日

       L 180s×48枚

        R  180s×20枚 (binning 2×2)       

        G 180s×20枚 (binning 2×2)

        B  180s×20枚 (binning 2×2)

       総露光時間 5h24m 周辺部を10%トリミング

M49(総露光時間 5h24m)

 

ひまわり銀河 M63

 りょうけん座の渦巻銀河、明るくて立派な銀河だ。ニックネームのひまわりはウ~ンそうかなあという気がするが、これは自分の画像が悪いんだろうな。花びらの部分がいまひとつという感じだ。

 今回もモノクロカメラでL画像を取得し、RGBには以前カラーカメラで撮った画像を用いてのLRGB合成とした。

 

    赤道儀:EQ5 GOTO SS-one  AutoGuider Proでオートガイド

    撮影ソフト:NINA

    画像処理ソフト:DSS SirilStarNet V2、GraXpert連係) Affinity Photo

    撮影地:神奈川県藤沢市

  L画像

    鏡筒:Kasai Trading GS-150RC+ ×0.75レデューサー(1050mm  F7)

    カメラ:SV605MC   0℃ offset 10 gain160

    撮影:2026年4月16日

       フィルター:L(ZWO  new LRGB)

       露光時間:180m(180s×60枚)

  RGB画像

    鏡筒:Sky-Watcher BKP150+コマコレ(680mm F4.5)  

    カメラ:ASI533MC Pro 0℃ offset 20 gain100 

    撮影:2024年5月3、4日  

       フィルター:CBP

       露光時間 580min(300s×116枚)

  Affinity Photo でL-RGB合成し周辺部を10%トリミング

  総露光時間 12h40m

 少しは「ひまわり」らしくなったかな?

M63(総露光時間 12h40m)

 

黒目銀河 M64

 かみのけ座の銀河、中心付近に暗い塵の帯(暗黒帯)があることから黒目銀河というニックネームがついている。この塵の帯は過去に衝突した別の銀河の残骸らしい。

 4/8は風が強かったが久しぶりの星空だったので、GS-150RCでL画像を取得し、以前撮ったカラー画像を用いてLRGB合成してみた。風の影響が顕著(星像がボテボテ)だったので180s露光120枚のうちFWHMが小さい順に60枚を使用して画像処理をしたが、値はおよそ7〰8pxの範囲だったので気休め程度かもしれない。

 

    赤道儀:EQ5 GOTO SS-one  AutoGuider Proでオートガイド

    撮影ソフト:NINA

    画像処理ソフト:DSS SirilStarNet V2連係) Affinity Photo

    撮影地:神奈川県藤沢市

  L画像

    鏡筒:Kasai Trading GS-150RC+ ×0.75レデューサー(1050mm  F7)

    カメラ:SV605MC   0℃ offset 10 gain160

    撮影:2026年3月21日

       フィルター:ZWO  LRGBのL

       露光:180s×60枚

  RGB画像

    鏡筒:Sky-Watcher BKP150+コマコレ(680mm F4.5)  

    カメラ:ASI533MC Pro 0℃ offset 20 gain100 

    撮影:CBP、LPR-N、L-eNhanceフィルター使用

       総露光時間 815min

  Affinity Photo でL-RGB合成し周辺部を10%トリミング

  総露光時間 16h35m

 L画像の撮影条件は悪かったが、カラーカメラのみの画像よりは解像感が向上したと思う。

M64(総露光時間 16h35m)