ぐうたら星撮り記

光害地で一杯飲んで寝ている間に天体撮影、これでいいのだ!

ふたご座の散開星団 M35

 散開星団球状星団は眼視で見たらさぞきれいだろうなと思いつつ、どうしても写真撮影を優先してしまう。眼視用の機材を別途用意しないといけないかなとも思うが、あと何年使えるかを考えるとなかなか手を出しにくい。

 M35は適度に密集して青い星が多いが赤っぽい星もチラホラあり、少し南西に離れたNGC2158もアクセントになってなかなか見応えがある。

    鏡筒:BORG ED77+クローズアップレンズNo4(385mm F5)

    赤道儀:EQ5 GOTO SS-one  AutoGuider Proでオートガイド

    カメラ:ASI533MC Pro   0℃ offset 20 

        NINAで撮影

    画像処理ソフト:DSS Siril Affinity Photo

    撮影地:神奈川県藤沢市

    撮影:2024年1月13日 CBPフィルター 300s露光を60枚(gain100)

       周辺部を若干トリミング、露光時間300min

M35(露光時間300min)

 自分は夜10時には寝てしまうし現状の機材では自動で撮影対象を変えることもできないので、一晩一対象が基本的な撮影スタイルだ。M35は300min露光となったが、星が相手なのでもっと短時間でも同じような画像が得られるのではないかと思う。そこで、処理枚数を減らして150min、75min露光の画像を作って比較してみた。ノイズ感などはほとんど差が無く75min露光でも大きな不満はないと思う。ただ画像処理でwaveletをかけた際(Sirilのwavelets control デフォルトのlayer1を少々)の耐性に差があり、長時間露光の方がより強調できたので、NGC2158などの解像感に若干の差があると思う。

露光時間比較


 

くらげ星雲 IC443

 ふたご座の超新星残骸、面白い形でなるほどクラゲに見えるが、頭が丸すぎてタコにも見えてしまうな。昨年にも投稿しているが、今回L-Ultimate、UVIRフィルターでも撮影してみたので、一昨年L-eXtremeフィルターで撮影した画像と合わせて処理をした。

    鏡筒:BORG ED77+クローズアップレンズNo4(385mm F5)

    赤道儀:EQ5 GOTO SS-one  AutoGuider Proでオートガイド

    カメラ:ASI533MC Pro   0℃ offset 20 

        NINAで撮影

    画像処理ソフト:DSS Siril Affinity Photo

    撮影地:神奈川県藤沢市

    撮影:2022年12月20日 L-eXtremeフィルター 600s露光を47枚(gain100)

       2024年1月6日 L-Ultimateフィルター   600s露光を37枚(gain100)

       2024年1月8日 UVIRフィルター   180s露光を70枚(gain100)

                        時間比例で合成、周辺部を若干トリミング、総露光時間1050min

 星は別途CBPフィルターで撮影した画像に入れ替えてある。また、色調整でBchを強調している。

siIC443(総露光時間1050min)

L-eXtremeフィルターとL-Ultimateフィルターの比較(露光時間は両者370min)を以下に示す。両者ともほぼ同様のストレッチをかけ、バックグランドとおぼしき部分を同じ明るさのニュートラルグレーになるよう微調整してある。フィルターの特性を見ると、各ピークでの透過率はL-eXtremeの方が若干高いようだが、L-Ultimateは半値幅が狭い分バックグランドが落ちて結果的にS/Nが上がっているようだ。

L-eXtremeフィルター           L-Ultimateフィルター

RGBチャンネル比較

 

バラ星雲 NGC2237

 いっかくじゅう座の散光星雲。明るく大きな輝線星雲だが、天体撮影を始めたばかりの頃はうまく写せずノイズだらけで苦労していたのを思い出す。今思えば、光害地で撮るには圧倒的に露光時間が少なかったのだと思う。

 1/4にL-Ultimateフィルター、1/7にUVIRフィルターで撮影したので、2022年にCBPフィルターで撮影した分と合わせて画像処理した。

    鏡筒:BORG ED77+クローズアップレンズNo4(385mm F5)

    赤道儀:EQ5 GOTO SS-one  AutoGuider Proでオートガイド

    カメラ:ASI533MC Pro   0℃ offset 20 

        NINAで撮影

    画像処理ソフト:DSS Siril Affinity Photo

    撮影地:神奈川県藤沢市

    撮影:2022年12月19日 CBPフィルター 300s露光を72枚(gain100)

       2024年1月4日 L-Ultimateフィルター   600s露光を37枚(gain100)

       2024年1月7日 UVIRフィルター   180s露光を148枚(gain100)

                        時間比例で合成、周辺部を若干トリミング、露光時間1174min

 星はCBPフィルターで撮影した画像を使った。星色からすればUVIRフィルターで撮影した画像にすべきかもしれないが、ほとんど色の差が感じられなかったことに加えて星像がより小さかったからだ。

NGC2237(総露光時間1174min)

 星雲の色はネット上の作品を参考に良さそうな色?に近づけてある。普通にストレッチしていくと下の写真のように緑が強く青が弱いような画像になるのでチャンネルミキサーで青を強調、特定色域で赤をマゼンタに寄せている。(starless画像で)

 

Sh2-280

 いっかくじゅう座の散光星雲、前回投稿の画像でバラ星雲の南にちょこっと写っていた。気になってネットで画像を探してみると、赤色だけではなくOⅢ領域もあるようなので撮ってみることにした。

    鏡筒:BORG ED77+クローズアップレンズNo4(385mm F5)

    赤道儀:EQ5 GOTO SS-one  AutoGuider Proでオートガイド

    カメラ:ASI533MC Pro   0℃ offset 20 

        NINAで撮影

    画像処理ソフト:DSS Siril Affinity Photo

    撮影地:神奈川県藤沢市

    撮影:2024年1月5日 L-Ultimateフィルター  600s露光を43枚(gain100)

                        周辺部を若干トリミング、露光時間430min

Sh2-280(露光時間430min)

 通常のストレッチだけではOⅢ領域が青くはならないので、Bchの画像を使用してマスクを作りAffinity Photoのチャンネルミキサー機能で青を強調している。Bchを強調しただけだとマゼンタぽくなるのでRchを少し弱めている。

    マスク画像                チャンネルミキサーでBchを強調

 

 43枚露光した中で1枚だけ赤っぽい点が写っていたが、これは静止流星?

 

NGC2237からNGC2264あたり

 新年早々とんでもない震災や事故が発生して言葉がない。一日も早い復興、そしてこれ以上災いが起きないことを祈ります。

 

 昨年暮れから正月にかけて、バラ星雲~クリスマスツリー星団あたりを撮影した。淡い部分を出したくてF2.0、F2.8で長時間露光したが、画像処理が難しくまだまだ修行が足りないことを痛感した。構図的にも何かしまらない感じで、縦長にトリミングした方が良かったかな。

       レンズ:Nikkor/F1.4/50mm(F2.0、F2.8)

    赤道儀:EQ5 GOTO SS-one AutoGuider Proでオートガイド

    カメラ:ASI533MC Pro   0℃  offset 20 

        NINAで撮影

    画像処理ソフト:DSS Siril Affinity Photo

    撮影地:神奈川県藤沢市

    撮影:2023年12月23、29日  L-Ultimateフィルター  600s露光を38枚(gain100、F2.8)

       2024年1月1日 CBフィルター  300s露光を52枚(gain100、F2.0)

       2024年1月2日 CBフィルター  300s露光を72枚(gain100、F2.8)

          F値の違いはあるが時間比例で合成、周辺部を若干トリミング

       星はCBPフィルター、F4.0で60min撮影した画像に入れ替え

NGC2237~NGC2264あたり(総露光時間1000min)

 

Sirilでの画像処理 Deconvolution (2)

 いくつかの対象にDeconvolutionを適用した結果についてメモを残しておく。ほとんどの場合、早い段階で星の周辺にアーティファクトが発生してしまうので、星無し画像に適用することを基本としている。

・M1

 鏡筒:BKP150+コマコレ(680mm F4.5) カメラ:ASI533MC Pro

     DSSでスタック時に2×Drizzle処理して6016×6016pxになった画像を3000×3000pxに

  トリミング

 写真①:リニア画像でdeconvolution処理後ストレッチ

     PSF:PSF from starsで生成(リニア画像にて)

     Deconvolution:RIchardson-Lucy法、Alpha 3000

                                                  AlgorithmはMultipricative、Iterations 1を3回

 写真②:ストレッチ画像をdeconvolution処理     

     PSF:PSF from starsで生成(ストレッチ画像にて)

     Deconvolution:RIchardson-Lucy法、Alpha 3000

              AlgorithmはMultipricative、Iterations 1を3回

 写真③:元画像

 写真④:ストレッチ画像を処理した結果(写真②に星を再合成)

 

 ストレッチ画像に適用した場合もほとんど差がないように見える。

 

・M20

 鏡筒:BKP150+コマコレ(680mm F4.5) カメラ:ASI533MC Pro

  DSSでスタック後に画像処理、周辺部をトリミング

 写真⑤:ストレッチ済元画像

 写真⑥:PSF:PSF from starsで生成(ストレッチ画像にて)

     Deconvolution:RIchardson-Lucy法、Alpha 3000

              AlgorithmはMultipricative、Iterations 1を3回

 処理後の方が暗黒星雲部分や上部の反射星雲がよりはっきりする。

 

・M82

 鏡筒:BKP150+コマコレ(680mm F4.5) カメラ:ASI533MC Pro

  DSSでスタック後に画像処理、50%トリミング

 写真⑦:ストレッチ済元画像

 写真⑧:PSF:PSF from starsで生成(ストレッチ画像にて)

     Deconvolution:RIchardson-Lucy法、Alpha 3000

              AlgorithmはMultipricative、Iterations 1を3回

 写真⑨:Iterations 1を4回

 写真➉:Iterations 1を5回

これも効果が認められる。繰り返しは4~5回くらいが限度か。

 

・M31

 鏡筒:ビクセンSD60SS+レデューサー(287mm F4.8)

  DSSでスタック後に画像処理、周辺部をトリミング

 写真⑪:ストレッチ済元画像

 写真⑫:PSF:PSF from starsで生成(ストレッチ画像にて)

     Deconvolution:RIchardson-Lucy法、Alpha 3000

              AlgorithmはMultipricative、Iterations 1を5回

 微妙だが暗黒帯がはっきりしてくる。

 

・M5

 鏡筒:BKP150+コマコレ(680mm F4.5) カメラ:ASI533MC Pro

  DSSでスタック後に画像処理、50%トリミング

 写真⑬:ストレッチ済元画像

 写真⑭:PSF:PSF from starsで生成(ストレッチ画像にて)

     Deconvolution:RIchardson-Lucy法、Alpha 3000

     AlgorithmはMultipricative、Iteration 1を3回

 写真⑮:PSF:PSF from starsで生成(ストレッチ画像にて)

     Deconvolution:RIchardson-Lucy法、Alpha 3000

              AlgorithmはGradient descent  step size 0.001

                             Iterations 100を5回

 写真⑯:PSF:Blind deconvolutionで生成(ストレッチ画像にて)

     Deconvolution:RIchardson-Lucy法、Alpha 3000

              AlgorithmはGradient descent  step size 0.001

                             Iterations 100を10回 

 この対象は星を消すわけにはいかない。写真⑭は上と同じやり方で処理した画像で星がベタっとしてしまい不自然な感じだ。写真⑮はPSF生成方法は変えずにAlgorithmを勾配降下法にした処理で、Iterations 100を5回繰り返したあたりで星の周辺が落ち込み始めている。写真⑯はPSF生成をBlind deconvolution(ℓ0 descent)で行い、Algorithmは勾配降下法でIterations 100を10回繰り返した画像で一番まともに見えるが、元画像に比較して星のツブツブ感が向上したなどの効果があるかというとはなはだ疑問だ。それにしてもPSFが、生成法でこんない異なるというのがよく分からない。これはもう少し検討しないといけないな。

 

 この1年、当ブログに目をとめて頂きありがとうございました。

 どうぞ良いお年をお迎えください。

オリオン座三ツ星周辺とバーナードループ

 このあたりを少し広く撮ってみたいと前々から思っていた。手持ちの使えそうな一番短いレンズは50mmなので、1インチセンサーでは少々狭くなってしまうがとりあえず挑戦してみた。う~ん、色が単調か、なかなか思ったような仕上がりにはならない。ブロードバンドフィルターの画像がもっと必要かな。星はCBPフィルターの画像のみを使っている。

       レンズ:Nikkor/F1.4/50mm(F4.0、F2.8)

    赤道儀:EQ5 GOTO SS-one AutoGuider Proでオートガイド

    カメラ:ASI533MC Pro   0℃  offset 20 

        NINAで撮影

    画像処理ソフト:DSS Siril Affinity Photo

    撮影地:神奈川県藤沢市

    撮影:2023年12月21日 CBPフィルター  300s露光を78枚(gain100、F4.0)

       2023年12月22日 L-Ultimateフィルター  600s露光を40枚(gain100、F2.8)

          1:1で合成、 周辺部を若干トリミング

オリオン座三ツ星付近とバーナードループ(総露光時間790min)