ぐうたら星撮り記

光害地で一杯飲んで寝ている間に天体撮影、これでいいのだ!

かに座の惑星状星雲 Sh2-290

 惑星状星雲としては大きめで視直径が16’程あるがとても淡く、なかなかきれいには写ってくれない対象だ。惑星状星雲は太陽に似た恒星の死に行く姿で、元となった恒星(ほとんどの場合白色矮星)からのエネルギーを受けて発光しているガスが高速で拡散し続けているため、地球からその姿が見られるのは長くても2万年程度と言われている。宇宙スケールの時間からいえば極めて短い命だ。惑星状星雲は美しい姿をしたものが多いが、宇宙でも美しいものははかないのだな。

 

   鏡筒:Sky-Watcher BKP150+コマコレ(680mm F4.5)

   赤道儀:EQ5 GOTO SS-oneでオートガイド

   カメラ:ASI533MC Pro   0℃ offset 20 

       NINAで撮影

   画像処理ソフト:DSS Siril(StarNet V2連係) Affinity Photo

   撮影地:神奈川県藤沢市

   撮影:2022年3月24日 L-eXtremeフィルター 600s露光を15枚(gain100)

              2023年2月17日 L-eXtremeフィルター 600s露光を36枚(gain100)

         2024年2月27、28日 L-Ultimateフィルター  300s露光を134枚(gain160)

      時間比例で合成 周辺部を略10%トリミング

Sh2-290(総露光時間1180min)

 

きりん座の銀河 NGC2403

 銀河はやはり難しいな。NGC2403は、ネット上では美しい作例があるし明るくて大きめということで狙ってみたが、腕が伸びている周辺部分は淡くてなかなか写らない。銀河が比較的バランス良く写ると思っているCBPフィルター(485min露光)と、より広帯域なLPR-Nフィルター(295min露光)、HⅡ領域用にL-Ultimateフィルター(210min露光)で撮影したが、結果はいまいち、まだまだ露光時間が足りないようだ。

 

       鏡筒:Sky-Watcher BKP150+コマコレ(680mm F4.5)

    赤道儀:EQ5 GOTO SS-oneでオートガイド

    カメラ:ASI533MC Pro   0℃ offset 20 

        NINAで撮影

    画像処理ソフト:DSS Siril(StarNet V2連係) Affinity Photo

    撮影地:神奈川県藤沢市

    撮影:2024年2月10日 LPR-Nフィルター 300s露光を59枚(gain100)

               2024年2月12、13日 CBPフィルター 300s露光を99枚(gain100)

          2024年2月26日 L-Ultimateフィルター 300s露光を42枚(gain160)

       時間比例で合成 周辺部を若干トリミング

NGC2403(総露光時間990min)

 

IC2177 再処理

 このところ天気が悪く星撮りができないので、以前撮ったIC2177の再処理をしてみた。再処理といっても星雲本体はほとんどそのままで、少々うるさかった星を小さくすることに主眼をおいた。

  撮影で使用したフィルターはLPR-N、CBP、L-eXtremeだ。星像はL-eXtremeが一番小さいので、色再現が良いと考えられるLPR-Nで撮影した画像の輝度情報をL-eXtremeの画像に置き換えることにした。ただL-eXtremeの画像は微光星の写りが悪いので、それをあぶりだすためSrilのWavelet処理でlayer1を少々強調している。その画像を白黒化して輝度情報としている。

①:L-eXtremeフィルターで撮影した星画像

②:①の画像をWavelet処理(layer1を3に)した画像、微光星が増えている

③:LPR-Nフィルターの星画像

④:③の画像の上に②の画像を置き、描画モード「輝度」で合成

 

上記の方法で作成した星画像を使用したIC2177、今度は少し星がおとなしすぎるかな。

IC2177(総露光時間870min)

 

ぎょしゃ座の散光星雲 IC410

 星雲の中におたまじゃくしが二匹泳いでいるような形が見えるので、おたまじゃくし星雲というニックネ^ムがついているようだ。勾玉星雲IC405と一緒に撮られることも多い。一か月ほど前に撮影しているが、星の処理に難儀して時間が経ってしまった。

    鏡筒:BORG ED77+クローズアップレンズNo4(385mm F5)

    赤道儀:EQ5 GOTO SS-one  AutoGuider Proでオートガイド

    カメラ:ASI533MC Pro   0℃ offset 20 

        NINAで撮影

    画像処理ソフト:DSS Siril (StarNet V2) Affinity Photo

    撮影地:神奈川県藤沢市

    撮影:2024年1月11日 L-Ultimateフィルター 600s露光を23枚(gain100)

       2024年1月12日 CBPフィルター  300s露光を61枚(gain100)

                 時間比例で合成、周辺部を若干トリミング、総露光時間535min

IC410(総露光時間535min)

星の処理に難儀したのは、画面右上に入っているぎょしゃ座18番星など青色がきれいな三つの輝星だ。CBPフィルターで撮影した星の周囲が赤っぽくなってしまい、ピント位置を変えて撮り直しをするなどしてみたが状況は変わらず、仕方なくこれらの星を選択して、RchにPhotoshopでいうところの「明るさの最小値」フィルターをかけて処理した。この原因についてはもう少し検討しなければと思っている。

 

トールの兜星雲 NGC2359

 おおいね座の散光星雲、OⅢ領域が結構明るい星雲だ。周囲にある分子雲ぽい部分は淡くて写りにくいが、これは狭帯域フィルターを使っているせいもあるのかな。以前より撮ってみたい星雲のひとつで、前回の挑戦はL-eXtremeフィルターで860min露光したもの、今回はL-Ultimateフィルターで330min露光したものだ。およそ38%の露光時間で遜色ない、というかむしろ今回の方が良いかもしれない。

       鏡筒:Sky-Watcher BKP150+コマコレ(680mm F4.5)

    赤道儀:EQ5 GOTO SS-oneでオートガイド

    カメラ:ASI533MC Pro   0℃ Gain 100 offset 20 

        NINAで撮影

    画像処理ソフト:DSS Siril Affinity Photo StarNet V2

    撮影地:神奈川県藤沢市

    撮影:2024年1月30日 L-Ultimateフィルター 300s露光を66枚(gain160)

       周辺部を若干トリミング

NGC2359(総露光時間330min)

 

月夜の撮影4日間 Sh2-308

 おおいぬ座の散光星雲、日本ではミルクポット星雲と呼ばれることが多いようだ。月が明るい時期だが、3nmデュアルバンドフィルターの威力を期待して撮影した。しかし20時間露光してもあまり満足のいく画像にはならないので、やはり月あかりが悪い?それとも画像処理の腕が悪い?それともまだ露光時間が足りない? いやいや、全部かもしれないな。

    鏡筒:BORG ED77+クローズアップレンズNo4(385mm F5)

    赤道儀:EQ5 GOTO SS-one  AutoGuider Proでオートガイド

    カメラ:ASI533MC Pro   0℃ offset 20 

        NINAで撮影

    画像処理ソフト:DSS Siril Affinity Photo

    撮影地:神奈川県藤沢市

    撮影:2024年1月16、24、25、26日 

       L-Ultimateフィルター 300s露光を249枚(gain160)

                          周辺部を若干トリミング

Sh2-308(総露光時間1245min)

 

 

かたつむり星雲 IC2169

 いっかくじゅう座の散光星雲(反射)、Sh2-273の赤や暗黒星雲が周囲にあり青いかたつむりが美しい。2年前に何回か撮影したが、気に入った画像にならず放置してあった。今回UV/IRフィルターで7時間強の露光を追加して何とか仕上げてみたところ、以前よりは良くなったが優良可でいうとまだ可というところかな。色はそれなりに出ているのにぱっと見たところ何かつまらない画像になってしまうので、それを回避しようとコントラストを上げ過ぎで下品になっているような気もする。

    鏡筒:BORG ED77+クローズアップレンズNo4(385mm F5)

    赤道儀:EQ5 GOTO SS-one  AutoGuider Proでオートガイド

    カメラ:ASI533MC Pro   0℃ offset 20 

        NINAで撮影

    画像処理ソフト:DSS Siril Affinity Photo

    撮影地:神奈川県藤沢市

    撮影:2022年2月22、24日 CBPフィルター 300s露光を50枚(gain100)

       2022年2月25日 L-eNhanceフィルター   600s露光を18枚(gain100)

       2022年2月26日 LPR-Nフィルター 300s露光を33枚(gain100)

               2022年2月27日 L-eXtremeフィルター 600s露光を19枚(gain100)

       2024年1月9日 UVIRフィルター   180s露光を143枚(gain100)

                         時間比例で合成、周辺部を若干トリミング、総露光時間1214min

 星はLPR-Nフィルターで撮影した画像に入れ替えてある。また、色調整でBchを若干強調している。

IC2169(総露光時間1214min)

 この撮影では5種類のフィルターを使用している。光害地でカラーカメラ撮影の場合、輝線星雲ではHα、OⅢ透過のデュアルナローバンドフィルターが効果的で迷いは無いが、反射星雲の場合はどのようなフィルターが適しているか確認したかったからだ。これら5種類の撮影結果は下の写真のようになり、露光時間や撮影日が異なるので参考程度の比較だが、フィルターの特性と矛盾しないような結果になっていると思う。1種類のフィルターだけだったらL-eNhance、2種類だったらL-eXtremeとLPR-Nを選ぶかな。

各種フィルター比較